東京北部ユニオンは、23年の年も押し迫った12月下旬に順天堂大学病院との緊急団交に臨み、
子育てしながら働く看護師が働けない「退職強要シフト」をやめさせる回答をかちとりました!
子育てしながら働く看護師が働けない「退職強要シフト」をやめさせる回答をかちとりました!
緊急団交で事実上の退職強要を阻止
順天堂大学病院看護師であるAさんは、抑うつによる通院加療中で、かつ支援の必要なお子さんを養育中であることから、夜勤や8時出勤は難しく、安全配慮を求めてきました。主治医からも「服薬中は夜勤早番、8時からの勤務は困難である。」との診断書が出ています。
ところが病院側は、Aさんの休職からの復帰以降3カ月を経た11月から8時出勤を増やし、24年1月からは全て「8時出勤、夜勤あり」のシフトで働くよう示してきました。それではシングルマザーで子どもを育てるAさんは働き続けることができません。
これについてAさんは労働局へのあっせんに訴えましたが、当局側は「何度も話し合っており、要求過剰である」と拒否したのです。
これについてAさんは労働局へのあっせんに訴えましたが、当局側は「何度も話し合っており、要求過剰である」と拒否したのです。
労働契約法第5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と労働契約における安全配慮義務を明文化しています。日本有数の大学病院が、同じ系列病院に勤める主治医の診断を無視するとはいったい何事でしょうか!
Aさんは東京北部ユニオンに加入。1月のシフトについて「主治医の診断書に従い、8時出勤を強制しないこと。夜勤なしの勤務を認めること」などの緊急要求を出し、12月頭に団体交渉を要求しました。
Aさんは東京北部ユニオンに加入。1月のシフトについて「主治医の診断書に従い、8時出勤を強制しないこと。夜勤なしの勤務を認めること」などの緊急要求を出し、12月頭に団体交渉を要求しました。
順天堂大学病院側は12月下旬の団交を受諾。当日ユニオンは「Aさんに対するこの仕打ちは、事実上のパワハラ退職強要です」「子育てしながら働く看護師を追い出すのか!?」と順天堂大学病院前で訴えました。
団体交渉の場で、Aさんなどユニオン側は、職場復帰以来、8時出勤には服薬等の関係でどうしても遅刻せざるをえないこと。それ以外は業務はきちんとこなしていることなどを訴えました。
労働契約法第5条は、使用者が安全配慮義務に違反したこと、具体的には、本来実施すべき職員の労務管理を怠った結果、職員が、病気になったり、怪我をしたり、最悪の場合には命を落とす様なことがあれば、これに対する責任を問われることになることを示しています。
「8時出勤・夜勤ありが強制されるなかでもし事故が起こったら、その全責任は病院当局にある!」「主治医の診断書に従って働かせろ!」と強く要求しました。
これはユニオンの緊急要求を病院側に受け入れさせた大きな勝利です! ユニオンとして、大学病院側が年末ぎりぎりの団交に応じ、Aさんのシフトを調整して対応したことについては、率直に評価しています。
その上で、当面1月のシフトが改善されただけであり、今後Aさんが働けるシフトなどの環境についての労使協議が必要です。
子育てしながら働ける医療介護職場を!
Aさんのように、自分の疾患や子育て・介護などで残業や夜勤が難しい看護師など医療介護労働者は膨大に存在します。支援のないママナースは、8時出勤・夜勤は誰であっても無理と言って過言ではありません。
日本看護協会が作成した「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」のイラストでは、「日勤、深夜入り、残業、業務終了後の研修…もう無理!」という子育てをしながら働くママナースの叫びが載っています。
日本看護協会が作成した「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」のイラストでは、「日勤、深夜入り、残業、業務終了後の研修…もう無理!」という子育てをしながら働くママナースの叫びが載っています。
看護職員の労働実態調査で「仕事を辞めたい」と思う割合は毎回8割近くにものぼります。この労働環境を変える必要性については、順天堂大学病院も含めて多くの病院が謳っていますが、実際には変わっていないのが現状。「子育て支援やダイバーシティを掲げながらやっていることは逆。ガバナンスばかりを強調し、人を追い詰める。『命令は絶対だ』『従えないなら退職するしかない』と言われた」などの声が寄せられています。
Aさんの背後には、黙って職場を去った看護師、今も声を上げられずにガマンする膨大な仲間がいます。子育て中のナースが働けないシフトの強制=退職強要はすべての医療介護労働者の問題です。
私たち東京北部ユニオンは、Aさんの今後の労働環境、そして職場全体を変えるために闘っていきます。皆さん、一緒に闘いましょう!
私たち東京北部ユニオンは、Aさんの今後の労働環境、そして職場全体を変えるために闘っていきます。皆さん、一緒に闘いましょう!